2018年12月20日木曜日

相続税の申告と納付について

弁護士に依頼しなくても、ネットで少し調べればできるだろうと思い、自分で相続税の申告と納付手続きを行ったので、忘備録を兼ね参考メモとしてまとめた。

母が亡くなってから半年ちょっと過ぎた頃に、母の住所地を管轄する税務署から郵便物が届いた。その内容は、

(1)相続税の申告要否を検討し、必要であれば相続税を期限までに納付してください。
(2)納付が必要ないと思われる場合は、申告要否判定ができる資料を送付してください。

というもの。

納付期限まで、まだ3か月半あったが、母の所有する不動産や貯金などの遺産総額は、基礎控除額(3000万円+600万円x法定相続人の数)を超えていることが分かっており、相続税の申告作業を始めた。

この記事は平成30年12月に書いており、以下の解説では平成30年分用のマニュアルや様式にアクセスしているが、この記事を参照して作業する場合は、適宜対応する年度の資料を参照すること。


【1.相続税の申告 】

Step1: 相続税の申告のしかた(平成30年分用)にアクセスして、相続税の申告の仕方(全ページ)をダウンロードし、内容を理解する。

ダウンロードした「相続税の申告のしかた」をよく読んで、特に自分のケースに当てはまる内容については熟読し、しっかりと内容を理解する。

また、65ページ以降の申告書の記載順序と記載例をよく見て、自分のケースで必要となる帳票(申告様式)と記載方法を理解する。


Step2: 申告様式をダウンロードする
国税庁のページの相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)から必要な申告様式をダウンロードする。相続アイテムが多い場合や、相続人数が多い場合は1枚に記載できない場合があるので複数回ダウンロードするか、複製して対応する。


Step3: 各申告様式に申告内容を記載する
「相続税の申告のしかた」の65ページ以降の申告書の記載順序と記載例をよく見て、順番に申告内容を記載していく。

以下、すべてのケースで作成が必要になる申告様式・第11表に記載する財産の種類ごとに補足。

(1)土地
市役所から届いている最新年度の固定資産税納付通知書を参照して記載する。固定資産税評価額にかける倍率は、国税庁の路線価図・評価倍率表で確認。不動産のある県を選択し、路線価図から路線価を確認、もし設定がなければ評価倍率表の方で倍率を確認する。



(2)家屋
上記、土地の場合に同じ。

(3)現金預貯金
被相続人が保管していた現金や、葬儀費用その他で一時的に引き出して相続人が預かっていた現金と各金融機関の被相続人の通帳(普通/定期)や定期預金証書などを確認して記載する。

(4)家庭用財産
売却価値がありそうな主なものについて記載する。宝石類、会員権、呉服、骨董品など。

(5)その他の財産(立木)
母が山林を所有していたので金額としてはわずかだがこれも評価した。植林をしていることは知っていたが樹種など詳細は不明なので、山林の管理を依頼している地域の森林組合に連絡して、樹種、樹齢、地積を確認する。回答は証明書の発行の形になるということで手数料2,160円がかかったが、樹齢35年のひのきで地積は2.4ha(ヘクタール)と分かった。

因みに、立木は次の算定式で評価される

立木の評価額 = 標準価額(ha当たり)x 地味級 x 立木度 x 地利級 x 地積(ha)

ひのき、杉の標準価額(ha当たり)は国税庁の路線価図・評価倍率表で山林の所在する県を選択後に表示された画面の中央やや下にある森林の立木の標準価額表で確認する。その他の地味級(土地の肥沃度)、立木度(密度)、地利級(土地の利便性)は同じく森林組合に問い合わせをして回答を得た。こちらは無料でした。

総合等級表で地味級、立木度、地利級から決まる倍率を確認し、上の算定式に入れて最終的な立木の評価額を算定する。

こうして自分のケースに必要なすべての様式を記入し終えたら、下記の添付書類を添えて被相続人の住所地を管轄する税務署の窓口に提出する。

・マイナンバーカードの表と裏のコピー:実際に遺産を相続する相続人全員のもの
・戸籍謄本(コピー可):被相続人と法定相続人全員の関係が分かるもの
・住民票写し(コピー可):申請者の住所が分かるもの
・遺産分割協議書(コピー可):法定相続人全員の記名・押印、更に契印の入ったもの
・印鑑証明書(原本):遺産分割協議書に押印した相続人全員の印鑑証明

※申告ケースにより、必要な添付書類は異なるので、詳細はダウンロードした「相続税の申告のしかた」で確認すること。




【2.相続税の納付 】

共通で提出する申告書の第1表で自分が負担すべき相続税額が分かるので、この金額を納付する。

Step4: 相続税を納付する事前処理
相続税は、銀行、郵便局あるいは被相続人の住所地を管轄する税務署の窓口で備え付けの納付書に記入して納付するが、オンライン納付(電子納税)もできる。電子納税手続きは幾つか種類があり自分に適したものを選択することになるが、今回は相続税の納付申請ということでインターネットバンキングを利用する登録方式の納税手続きを選択した。

利用可能な手続きの詳細は、e-Taxの電子納税手続を参照。

※この登録方式というのは、e-Taxソフトで納付情報登録依頼を作成して送信し、対応する納付区分番号を取得し、ネットバンキングでこの納付区分番号を指定して電子納税を行う方式です。

以下は、ネットバンキング利用の登録方式による納税の場合の手順です。

(1)e-Tax ホームページにアクセスする

(2)e-Taxシステムを利用する準備をする

順に1から4までのボタンをクリックして説明に従ってシステム利用のために必要な証明書の入手や届け出を行う。これまでに住基カードやマイナンバーカードでe-Tax申請をしたことのある方は、基本的に何もしなくてもよいはずですが、確認の意味でざっと目を通すことを勧めます。

(3)希望するソフトにログインまたはソフトをインストール
相続税の納税処理ということで、e-Taxのすべての機能が使える、PCにインストールして使用する一番下のe-Taxソフトを今回、選択した。

(4)開いたダウンロードコーナーの手順に沿って必要なものをインストールする
手順①から手順④(手順⑤は今回は不要)まで順に選択して下側に表示された記事をよく確認しながら作業を進める。

手順④を選択し、「e-Taxソフトダウンロードコーナーへ」をクリックして開いたページのSTEP1でe-Taxソフトをダウンロードしてインストールする過程で、STEP2及びSTEP3の記事を参照する流れになる。

今回、インストールするプログラムは
  ・共通プログラム
  ・税目プログラム
の2種類あるが、後者の方は今回相続税の納付ということで下記の矢印の3項目のみを選択してインストールした。(必要になれば後日、別な税目プログラムを追加インストールすることが出来る)

上記でインストール作業が終了。

(5)e-Taxソフトを起動する
初回起動時は、利用者ファイルの作成が促されるのでそれに従いファイルを作成し適当な自分のPCのディレクトリーに保存する。ソフトを使用した編集作業内容はすべてこのファイルに記録されるので、次回以降の起動時はこのファイルを利用者ファイル一覧から選択することで編集内容の閲覧や追加の編集などが可能になる。

(6)e-Taxソフトで納付情報登録依頼を作成する
e-Taxのマニュアルコーナーからe-Taxソフト操作マニュアルのNo.12の「納付情報登録依頼を作成・送信する」をクリックして開き、納付情報登録依頼を新規作成するケースの記事を参照して作業する。


・利用者識別番号:e-Taxの利用者識別番号(自動表示)
・納付先:納税申告書を提出する被相続人の住所地を管轄する税務署
・住所(所在地):上記税務署の住所
・氏名又は名称:利用者識別番号に対応する登録済みの氏名(自動表示)
・税目:相続税を選択(プルダウンメニュー)
・課税期間(自):相続開始年月日(今回のケースでは母の死亡日)
・本税:納税申告書に記載した自分の納付税額
・合計:上記と同じ金額

その他は空欄でOK

(7)納付情報登録依頼を送信する
e-Taxのマニュアルコーナーにあるe-Taxソフト操作マニュアルのNo.10の「申告・申請等を送信する」を参照して送信手続きをする。

(8)納付区分番号通知を確認する
e-Taxのマニュアルコーナーにあるe-Taxソフト操作マニュアルのNo.12の「納付情報登録依頼を作成・送信する」を参照して、(7)で送信した依頼に対応する受信メッセージを選択表示して、このなかにある納付区分番号を確認し、この数字を控える。


Step5: ネットバンキングで相続税を納付する
自分が利用する銀行のネットバンキングにログインして、税金・各種料金の払込みメニューにアクセスし、必要な下記の情報を入力して納付する。


・収納機関番号:00200 (国税庁)
・納付番号:利用者識別番号(e-Tax)
・確認番号:納税用確認番号(e-Tax)
・納付区分:Step4の(8)で控えた納付区分番号


相続税の申告と納付に関する手続きはこれで完了です。

後日、税務署から連絡、あるいは確認のための自宅訪問などがあれば適宜対応してください。


以上










































































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