2021年1月1日金曜日

処方箋医薬品の個人輸入について

数年前から軽度の皮膚病で困っている。腕や足に赤い小さな発疹が出て痒くなり、掻くと悪化し少し発疹部分が膨らんで益々痒みが増してくる。特に皮膚が乾燥しやすい秋口から症状が出ることが多い。

そこで皮膚科に受診すると「高齢化現象の一つで皮膚表面の保護バランスが崩れることによるものなので、化繊など皮膚刺激が強いタオルに石鹸を付けて毎日洗いすぎないようにしてください。毎日洗う必要もないので数日に1回にする、更に洗うときも泡立てた石鹸で手でやさしくなでるように洗ってください」との説明を受けて下記のステロイド外用薬を1本処方された。

薬品名:メサデルム軟膏0.1%(5g)

外用薬強さランク:ステロイド外用薬は体内への吸収度に応じて5段階(Storngest、Very Strong、Strong、Medium、Week)に分類されているが、このメサデルムはStrongに該当する。

一般的な使い方:1日1〜数回、適量を患部に塗布する。大人への処方は全身~体幹部限定、子供の場合は顔や陰部を除く体幹部。連続使用は大人で2週間以内、子供で1週間以内に。

薬効分類名は、外用合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)なので、大量に長期に渡る使用は副作用の観点から避ける必要がある。

製造販売元は、岡山大鵬薬品株式会社で日本で製造販売されている薬である。

処方されたこの軟膏のお陰で症状は改善された。また石鹸を付けてあまり体を洗わないようにすることで痒みの症状が出ることも減り、痒みの症状が出ない限りできるだけ使用しない、1回あたりの用量もほんの少しにして1本で2年以上何とか持ちこたえることが出来た。しかし、今シーズンの冬がやって来て軟膏がほぼなくなり、引き続き思い出したように痒みが出るので、また皮膚科を受診する必要が出てきた。しかしながら、コロナ禍でもあり、できれば患者の多い病院に行きたくないのでネット通販でメサデルム軟膏が手に入らないか調べてみた。

国内の通販サイトを色々当たってもメサデルム軟膏は見つからない。この軟膏は処方箋医薬品(医療用医薬品)に該当し、国内の法律で処方箋医薬品のインターネット販売は禁止されていることによるものと分かった。もしこの軟膏がOTC(Over The Counter)医薬品(=大衆薬・市販薬)に分類されていれば国内の通販サイトでも買えるようになっているはずである。

仕方なく海外のサイトを検索してみると、下記のサイトでメサデルム軟膏が購入(個人輸入)できることが分かった。

Family Pharmacy Global(ファミリーファーマシーグローバル)

そこで疑問になったのが、国内でインターネット販売が禁止されている処方箋医薬品を海外から個人輸入するのは違法にならないかという点である。下記の厚労省のサイトによると処方箋薬も用法、用量から見て1か月分以内で、個人使用であれば、特別な手続きなしで税関の確認だけで個人輸入が出来るようになっているようである。

もともとこの医薬品の個人輸入は国内での治療法がない場合や、国外で受けた治療を継続するための救済措置として設けられた制度のようだが、現状で見ると諸外国の法規とは異なっているようである。この点については下記の寄稿論文が参考になる。

ということで、メサデルム軟膏を海外サイトFamily Pharmacy Globalから郵送で個人輸入することは、現状では違法ではないことが分かった。早速、2本注文した。注文後に指定された銀行口座(IPS(楽天)銀行)に代金を振込み、注文から1週間後に商品が台湾から発送され、発送から1週間で国際郵便で自宅に無事商品が届いた。



上記寄稿論文にあるように医薬品の個人輸入については日本は諸外国と比較すると特異な存在になっているようだが、使用実績があり効果を確認できている処方箋医薬品を昨今のコロナ禍で病院に行かずに入手できる手段が残されていることは非常にありがたかった。



以上